「どうして命が大事なのか」。
震災で被災し、語り部として講演をしていたAさんが、参加者の学生から言われた言葉でした。
私が直接言われたわけではなりませんが、もし同じ言葉を誰かから言われたらと、深く心に残りました。
命が大事なのは当たり前。生きるのは当たり前。
災害時も、「生き延びるためにどうするか」。それが防災の前提です。
「防災」は、例えばインフラ整備や備蓄などかたちの見える備えから、ハザードマップをみたり災害教訓を学ぶなど目に見えない備え、避難訓練などの体験による備えなど、できることは多様です。
だけど、どんな多様な防災を実践しても、あることをすると、いざというとき全く役に立たなくなる可能性があります。それは「受け身になること」です。
*
自分の頭で考えて、自分の足で動くこと。そして「生きたい」と思うこと。
あなたが誰かに何を言われても、右から左で、行動もせず、生きたいとも思わなかったら・・・どんな素晴らしい防災技術も、共助も公助も、あなたの命を守れないでしょう。
*
防災ポートフォリオ管理人のico.は、2度の被災で全てのモノを流された経験から、「最終的には身一つ(頭と体)が頼りなんだ」と気付きます。
そしてもう一人。
建設コンサルタント会社の技術者として、長年防災インフラに携わってきた『Open Villageノキシタ』の村長・加藤清也さん。加藤さんはその仕事を通して、「ハードばかり向上しても、それを使う側の能力は果たして?自分で判断して行動する力が必要」なのだと気付きました。
*
加藤さんはそれから、仙台市田子西地区のまちづくりに携わり、「コレクティブスペースエンガワ」「障がい者就労支援カフェ」「保育園」「障がい者サポートセンター」 の4つの施設がひとつになった交流施設『Open Villageノキシタ』をオープンさせました。
子ども~高齢者まで、障がいのある方もそうでない方も、誰もが利用できる、多様性社会の縮図のような施設です。
*
「災害弱者」とは、身体,情報収集・伝達力,知力などにハンディキャップを負っているため,災害時に被害を受けやすい立場にある人のことを指し、一般的には高齢者・障がい者・乳幼児や妊婦などと位置付けられています。
しかしそうではなく、ご高齢でも、障がいがあっても、歳若くても・・・自分で判断できて自分で動ければ、災害弱者とはならないのです。
*
「誰もが自分の意志で生きること」「生きたいと思える日常を送ること」が、「防災」に先立つことであり、根幹ではないでしょうか。
ノキシタは、防災の本来の在り方・これからを考えるとともに、人の生き方さえも見つめ直したくなる施設でした。
(何言ってるのと思う方はぜひノキシタに行ってみてくださいね〜!行かねば分からぬことがある!)
ico.
0コメント